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巣ごもりからの
リセット養生ごはん

 新型コロナウイルス感染防止のため、私たちは幾度となくステイホームを繰り返し、外出を控える働き方や、買い物を極力減らす方法としてテイクアウトなどを選択し、かつてない生活を続ける中で食生活と運動バランスがいちじるしく偏り続けています。
 
季節は廻り2度目の春。春は冬の間に閉じこもったものが芽吹く、発陳(はっちん)と呼ばれる季節です。冬の寒さから春の暖かさへの変化に身体が上手くついていけず交感神経のバランスが崩れ、ダル重い疲労や皮膚の障害が生じる頃でもあります。

新しい生活の準備


人間と同じ哺乳類の熊は、冬眠の間の身体を維持するために高カロリーな食物と熊笹を食べ、春の目覚めを待ち、目覚めと共に熊笹を食べ解毒をするそうです。
 ※解毒とは、血液や腸の老廃物を身体の外へ 出すことを言います。コロナ自粛で長い巣 ごもりが続く私たちの身体もいわば冬眠中 のようなものです。長引く自粛生活から来 る体調不良により医療機関で受診したり、 健康診断の結果で高血圧、動脈硬化症や糖 尿病などと診断された人が増えたと言われ ています。

コロナ禍での暮らしぶりは、私たちの日頃の食生活を映す鏡のようなものと言えそうです。ワクチン接種が開始されると自粛生活も終盤。コロナ明けの新しい生活を健やかに過ごすための簡単薬膳レシピをいくつかご紹介します。

Recipe1

皮膚トラブルや、粘膜が弱くなったと感じる方へ 
鰆とうるいのゆず酢味噌添え


 ◆ 材料(2人前)◆

・鰆の塩焼き・・・・・・・・・・・・・2切れ
・うるい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1束(100g程度)
・ゆず酢味噌・・・・・・・・・・・・大さじ1.52
・ゆずの皮(飾り用)・・・・適量
※ゆず酢味噌の材料とつくり方
砂糖大さじ1/2、白味噌大さじ1をボールに入れてよく混ぜ合わせ、酢大さじ1/2、ゆずの絞り汁大さじ1/2を加えて再度混ぜて出来上がり。

◆ つくり方 ◆

うるいの下処理:鍋にたっぷりの水を入れ火にかける。沸騰直前になったら根元のはかまを切っ  たうるいを入れて1分程度ゆで、水にさらす。キッチンペーパーなどで水分をしっかり吸い取り、食べやすい大きさに切る。
器に①とゆず酢味噌を敷き、その上に焼いた鰆をのせる。

うるい

Recipe2

お酒の飲み過ぎ、喉の腫れや痰のからみ、むくみが気になる方へ
生姜を利かせた
わかめの酢の物


 ◆ 材料(2人前)と作り方◆

鍋で沸騰させた湯にわかめ(70g)を入れ、色が変わったらざるに上げ水で冷まし、水気を切って食べやすい大きさに切る。
ボールに①と甘酢(大さじ1)を入れて和える。
②を器に盛り、ゆずと生姜の千切り(お好みの量)を飾って出来上がり。

 〈わかめ〉

性味:平、鹹   帰経:腎
効能:水分代謝を促し、腫れを消し、酒毒を解する。 

Recipe3

ウイルスや細菌対策マスクでできたニキビに
板藍根茶でお吸い物


 ◆ 材料(2人前)と作り方◆

鍋に板藍根茶(1パック/3g)と鰹出汁(400㏄)を入れ弱火でゆっくり温める。
①が温まったらお好みの具(うす揚げ、わかめ、刻みネギ、生姜のスライスなど)を加え、再度沸騰しない程度に温め椀に注ぎ入れる。

〈板藍根〉

性味:苦/寒  
帰経:心・胃 
 
中国では古くから風邪やインフルエンザの予防などに使われる板藍根茶は、コロナ禍になり日本の薬局でも見かけるようになりました。香ばしい風味の板藍根は、アブラナ科の植物であるホソバタイセイの根を乾燥させた薬草です。特に、体の上部の熱を冷まし発熱やのどや耳の痛みなどに作用するため、冷え性の方にも優しいお茶として普段の食事に取り入れたり、スープとして使いやすい穏やかな味です。これからの新しい生活に向け、健やかな毎日を育みながら体調を整えてほしい、そんな願いを込めています。お好みで味噌や醬油、野菜や豆腐なども加えていただき、身体を温める汁物として召し上がってください。

板藍根

ホソバタイセイ

Recipe4

血圧が高めで動脈硬化、血栓予防などが心配な方へ
セロリとアンチョビのサラダ


  ◆ 材料(2杯分)◆

・食べやすい大きさにちぎったレタスやセロリの葉など・・・お好みの量
・スライスし水に晒した玉ねぎ・・・・・・・・・・・・・・お好みの量
・アンチョビ(もしくはオイルサーディン)・・・・・・・・ 1片(1尾)
・マヨネーズ、酢・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・各大さじ1/2

◆ つくり方 ◆

ボールにアンチョビもしくはオイルサーディンを入れてほぐし、マヨネーズと酢を加え混ぜ合わせる。
器にレタス、セロリの葉、玉ねぎを入れ、①を盛り付ける。

「アンチョビ」はカタクチイワシを塩漬けにし発酵させた加工品、「オイルサーディン」は頭や内臓を取り除いたイワシを塩水に浸け低温の油で煮たものです。イワシには身体を温め胃腸の働きや消耗した血を補う作用があり、セロリは高血圧、めまい、疲れ目に作用があるといわれます。併せて召し上がると血液サラサラ効果が期待できます。
【ご注意】背の青い魚を薬膳では「発物(はつぶつ)」と呼びます。呼吸器疾患や皮膚疾患を悪化させるおそれがあるため、体調が優れない時はお勧めしません。またプリン体の多い食品ですので、高脂血症、高尿酸血症の方も食べる量に注意が必要です。巣ごもり生活での生活パターンから血栓による突然死や心筋梗塞、重い後遺症を残しがちな脳梗塞などを引き起こさないために、ぜひ今日から予防のための生活を心がけてください。

その他のメニュー

生理不順気味の方へ
タラの芽や菜の花の天ぷら


 [タラの芽]
温気の流れや血液の滞りを取り除き、生理不順を改善し止血効果もある。
 
[菜の花]
血液の滞りを散らし、腫れ物を取り除く作用がある。
 
冬の間活動が停止していた胃腸の動きを芽吹きたての山菜は苦味で刺激し動きを導いてくれる。

山菜でアレンジ
ニョキニョキ山菜


湯がいてあく抜きした山菜(菜の花・タラの芽)をスライスチーズで巻き出来上がり。

撮影/水野真澄(※以外)

監修/食と暮らし方のエコノミスト
岩本 節子 Setsuko Iwamoto
薬膳サロン船七.com代表 国際中医薬膳管理師 予防薬膳専門家
 
多種多品目の食材をバランスよく食べることで健康寿命を延ばす、家族のための予防薬膳教室を、地元である大東市住道(大阪)で開催。
大和当帰の栽培、薬膳素材を使ったスープや当帰の調味料などの開発を行っている。


Instagram  @se2ko_ism