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今日から始められる冷え対策

春の七草は七草粥にして食べますが、秋の七草は花を楽しみます。
萩 ススキ(尾花) 葛(クズ) 撫子 女郎花 藤袴 桔梗
 
その中でも葛は、古くから食用だけでなく薬用にも用いられてきました。風邪の薬で有名な「葛根湯」は、葛の根から作られています。葛の根には女性のホルモンに似た作用のある数種のイソフラボン類(植物エストロゲン)が豊富に含まれており「製葛業を営む家の主には禿頭(とくとう)薄毛の人はいない」とも言われます。上半身に血行が行き届くことで、骨粗鬆症や乳がんの抑制効果、年齢を重ねた身体に起こる更年期障害への効果も期待されています。また上半身に起こる炎症、肩こりと首こりの初期症状の改善に有効と言われています。
 
葛の花を乾燥させたものは葛花(かっか)と呼ばれ、二日酔いに効くと言われています。3~5グラムを0.3リットルの水で煎じ、沸騰してきたら加熱を止め、冷えてから飲むようにします。
 
今回は、身体を内側から温める、葛の手軽なレシピをご紹介します。

季節の食材
葛(クズ)

マメ科クズ属
効能 血行促進、発汗、解熱、解毒、鎮痛風邪、肩こり、下痢、頭痛、更年期障害の症状

Recipe1
柚子葛茶

冬の冷えから来る不調や痛みにおススメ。
とろっと優しく身体の芯から温まります。
市販の柚子茶を使った簡単あったかレシピ。

市販の葛湯でお手軽に冷え対策
小豆色は小豆の葛湯。利尿と温め効果で、更年期のホットフラッシュなどにおススメです。
緑色は抹茶の葛湯。喉風邪かな? のときは抹茶の葛湯です。

 
◆ 材料(2人前)◆

・本葛粉・・・・・・・・・・・・・30
・水A(本葛粉を溶かす用)・・・・150cc
・水B・・・・・・・・・・・・・・150cc
・柚子茶・・・・・・・・・・・・・大さじ1.5
*お好みで量を加減してください
 

◆ つくり方 ◆

本葛粉と水Aをボウルなどに入れ、よくかき混ぜて溶かしておく。
鍋に水Bを入れ沸騰させてから一度火を止める。
②の鍋に溶いた①を入れ、弱火でとろみがつくまでよく混ぜる。
鍋から器に移して、お好みで仕上げに柚子ジャムを入れよく混ぜる。


 

Recipe2
韮粥(ニラかゆ)

寒い冬は、血液の循環が悪くなるため、古血の排泄する力が弱まりしもやけや身体のこわばりが起こりやすくなります。
そんな時にはビタミンAB群を豊富に含むニラ。シンプルな韮粥がお腹の中から温めてくれます。


◆ 材料(1人前)◆

・ニラ・・・・・・・・・・・・・5本ほど
・炊いたご飯・・・・・・・・・・お茶碗半分ほど
・水または出汁・・・・・・・・・300cc
 

◆ つくり方 ◆

鍋に水または出汁を入れ、次にご飯を入れて、弱火でコトコト炊く。
細かく刻んだニラを入れひと煮立ちさせる。


◆ ポイント ◆

ニラに含まれるアリシンは熱に弱い性質のため、長く煮込むと効果が消えてしまいます。ニラの香りが苦手な方は、ネギや柚子で香りに変化をつけてみては如何でしょう。他にアリシンを含む食材には、長ネギ、アサツキ、ニンニク、たまねぎ、ラッキョウなどがあります。

薬膳ではおかゆに「十徳」があると言われています。
 
一 顔色光沢(顔色・肌つやをよくする)
二 気力健康(栄養を吸収し、体力をつける
三 寿命延永(寿命を延ばす)
四 身支安適(胃にやさしく、体が安定する)
五 言音清朗(頭の働きがよくなり、言葉が清らかになる)
六 飢消(空腹を満たす)
七 渇消(のどの乾きを癒やす)
八 宿食除(未消化の食物を除く)
九 風除(かぜをひかない)
十 大小便調達(お通じも利尿もよくなる)

Recipe3
冬瓜と生姜の葛餡スープ


糖の吸収を抑え、脂肪の蓄積が気になる時のデトックススープ。
利尿作用がありむくみを予防する冬瓜。
冬のイベントで外食がちの疲れた体に、出して補う冬のぽかぽかスープ。

◆ 材料(2人前)◆

・冬瓜・・・・・・・・・・・200g(乱切り)
・大根・・・・・・・・・・・50g(サイコロ)
・しめじ・・・・・・・・・・適量
・豆腐・・・・・・・・・・・100g(サイコロ)
・ユリ根・・・・・・・・・・4カケ
・チキンスープ水・・・・・・500
(うち、200ccで本葛粉25gを溶いておく)
・鶏のつくね・・・・・・・・100g
*鶏ももミンチ100g、生姜の絞り汁少々、ゴマと柚子皮のみじん切りお好みの量をよく混ぜたもの
・醤油、塩コショウ・・・・・お好みの量
 

◆ つくり方 ◆

鍋にチキンスープ水(300cc)と鶏のつくねを入れ、弱火でゆっくりとつくねに火を通す。
①の灰汁を取った後に冬瓜と大根を入れ、具材が透明になるまで煮る。
しめじと豆腐と、溶いておいた葛を入れ、火を通しとろみがついたら、仕上げにユリ根を追加し最後にひと煮立てする。
醤油と塩コショウで味を整える。

撮影/水野真澄(※を除く)

監修/食と暮らし方のエコノミスト
岩本 節子 Setsuko Iwamoto
薬膳サロン船七.com代表 国際中医薬膳管理師 予防薬膳専門家
 
多種多品目の食材をバランスよく食べることで健康寿命を延ばす、家族のための予防薬膳教室を、地元である大東市住道(大阪)で開催。
大和当帰の栽培、薬膳素材を使ったスープや当帰の調味料などの開発を行っている。


Instagram  @se2ko_ism