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食で旅する薬膳旅行

新型コロナウイルス感染症による行動制限から解放され新しい生活が動き出した喜びもつかの間、戦争やまさかのテロ事件が起こり、まだまだ落ち着かぬ日々が続いています。
音楽やスポーツに国境がないように私たちの食事は、世界から輸入された食材でできています。食材の効果効能は同じですが季節や暮らす場所、体のつくりや使う調味料などでも変わるのが薬膳。その中のひとつに蕎麦があります。蕎麦は荒地でも栽培できる優れた植物。ロシア語ではCoбa(ソバ)韓国語では메밀(メミル)
また郷土料理はその土地ならではの食材や調理法を工夫し家族が健やかに暮らせるようにと伝承されてきた、真心こもった食べ物です。今回は食を通じて平和を願いたいと思います。

蕎麦の効能
 
・ストレスによる胃もたれを改善します。
・糖質の代謝を助け、疲労回復の効果が期待できます。
 
〈注意〉
・アレルギーの有無(免疫不全・かゆみ・腫れなど)
・胃腸が冷えている場合は控えてください。
・高い滋養強壮効果の半面、アレルギー反応が強く出る
  場合も多いので注意が必要です。
Recipe1

徳島県の郷土料理
蕎麦米汁


 ◆ 材料(2人前)

・蕎麦米・・・・・・・・・・100g
・干しシイタケ・・・・・・・2
☆鶏モモ肉・・・・・・・・・80g
☆ニンジン・・・・・・・・・25g
☆ちくわ・・・・・・・・・・30g程度
☆刻みこんにゃく・・・・・・適量
・調味料 
  酒・・・・・・・・・・・・大さじ2
  みりん・・・・・・・・・・大さじ2
  醤油(あれば薄口醤油)・・大さじ2
 

  ◆ つくり方

蕎麦米とたっぷりの水を鍋に入れて火にかけ5分ほど湯がいたあと、ざるにあげお湯を切っておく。
干しシイタケを水(600㏄)に入れて戻し、スライスしておく。
鍋に②と☆の材料(食べやすい大きさに切ったもの)を入れ弱火にかける。途中で灰汁を丁寧に取る。
③に全ての調味料を入れ、更にひと煮立ちさせ火を止める。
④に①を入れ、温めなおして出来上がり。

蕎麦米汁の起源:源平の合戦に敗れて祖谷地方に逃げてきた平家の落人たちが、都をしのんで正月料理につくった蕎麦米雑炊が始まりと言われているそうです。
蕎麦米:蕎麦の実を水に浸した後に蒸し乾燥させて殻をとったもの

Recipe2

ロシアの郷土料理
蕎麦の実のカーシャ


材料(2人前)とつくり方

蕎麦米(1カップ)、水(2.5カップ)、塩(小さじ1)を鍋に入れ、コトコト炊きます。
 

 蕎麦を使ったロシアの郷土料理です。(日本のおかゆのようなもの)

Recipe3

 
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」で王妃が食した 
メミルチョンビョン

(蕎麦粉のクレープ巻きのようなもの)

 ◆ 生地の材料(2人分)

☆蕎麦粉・・・・・・・・20g
☆小麦粉・・・・・・・・8g
☆もち粉・・・・・・・・8g
・塩・・・・・・・・・・少々
・溶き卵・・・・・・・・1/2
・水・・・・・・・・・・50
・ゴマ油・・・・・・・・適量

 ◆ 生地のつくり方

ボールに☆と塩を入れよく混ぜる。
①に溶き卵と水を混ぜたものを少しずつ入れ、滑らかになるまでよく混ぜる。
30分ほどラップなどをして寝かせる。
弱火で温めたフライパンに油を入れ、余分な油はキッチンペーパーなどで拭き取る。
③をフライパンの大きさに合わせて流し入れ、裏表を焦げないように焼く。

 ◆ 基本の材料(2人分)

・豚モモ肉・・・・・・・・・・30g程度
・ゴマ油・・・・・・・・・・・大さじ1/2
・短冊に切った大根・・・・・・80g
・シメジ・・・・・・・・・・・お好みの量
・タマネギ・・・・・・・・・・1/4程度
・醤油麹・・・・・・・・・・・大さじ1

 ◆ 具のつくり方

フライパンに油と肉を入れ、よく炒める。
①に野菜とキノコ類を入れ、火が通るまで炒める。
醬油麴を加え、強火でサッと炒める。

 ◆ つくり方

お皿などにラップを敷き、その上に生地を1枚置く。
写真のように具をのせ、くるくるラップで 巻く。
*基本の具材のほかに、青梗菜(湯がいたもの)、キムチ、納豆を一緒に巻いています。

アレンジRecipe
 

蕎麦粉のミルフィーユ


 「メミルチョンビョン」の生地に、季節の野菜や果物などを挟んで旬の食材を楽しんでください。

教えてせつこさん
質問コーナー


Q夏ごろから体が火照った感じが続きますが熱があるわけでもなく、時々お腹を壊したと思ったら便秘になったりもします。病院も行きづらくて、市販の整腸薬を飲み続けていますが、何か他にできることはないでしょうか?

30代後半 女性)

A今年は異常気象のせいでしょうか、厳しい暑さと湿気の多い日が続きましたね。暑さによる外からの刺激や冷たい飲み物などによる「胃弱」が起こり、そのために体内の余分な熱が発散できず、のぼせにつながっているのではと思われます。整腸薬でお腹の調子を整えておられますので、気温と共に落ち着いてくるとよいですね。症状を慢性化させないように、念のため受診をされることもよいと思います。どうぞ温かい食べ物や飲み物を摂って、お大事にしてくださいね。

撮影/水野真澄

監修/食と暮らし方のエコノミスト
岩本 節子 Setsuko Iwamoto
薬膳サロン船七.com代表 国際中医薬膳管理師 予防薬膳専門家
 
多種多品目の食材をバランスよく食べることで健康寿命を延ばす、家族のための予防薬膳教室を、地元である大東市住道(大阪)で開催。
大和当帰の栽培、薬膳素材を使ったスープや当帰の調味料などの開発を行っている。


Instagram  @se2ko_ism