フランス「イル・スガン・プロジェクト」
前回は、隈研吾氏が設計したサン・ドニ・プレイエル(Saint-Denis-Pleyel)駅をご紹介しました。同駅は現在パリ市周辺部で進行中の「大パリ構想」に基づく交通網の整備と、都市建設プロジェクトの北の拠点となっていて、すでにメトロ14番線が南のオルリー空港まで開通しています。
それに対して、パリ圏南西側の拠点として急速に建設が進んでいるのが、パリ市に隣接するブローニュ・ビヤンクール市にある、ポン・ドゥ・セーヴル(Pont deSèvres/セーヴル橋)駅。こちらではメトロ15番線が、本年中の開業を目指しています。15番線と14番線のメトロは途中で接続するので、こちらからもオルリー空港までメトロで行けるようになります。


ポン・ドゥ・セーヴル新駅の建設と同時に進行しているのが、隣接しているセーヌ河沿岸の再開発。特にセーヌ河の中州である、イル・スガン(Île Seguin/スガン島)の開発が急ピッチで進められています。イル・スガンは自動車メーカー・ルノーの工場跡地で、総面積は11.5ヘクタールあります。工場は1992年に閉鎖され、以後30年以上再開発が行われています。
島の西端(セーヌ河下流側)には、坂茂氏設計のラ・セーヌ・ミュジカルが2017年に完成し、現在各種のコンサート・ホールとして、大きな成功を納めています。
一方、現在最も工事が進行しているのが、島の東端(セーヌ河上流・パリ中心部側)部分で、現代美術館を中心にした文化センター、シネマコンプレックス、大型ホテル、レストラン、商業施設、オフィスからなる3.5ヘクタールの建築が進められています。このプロジェクトは「芸術の岬」(Pointe des Arts)と名付けられ、エムリージュ(Emerige)グループが指揮を執り、スペインの建築家集団RCR Arquitectes(2017年にプリツカー賞を受賞)が設計を担当しています。



そしてこれらの両端に位置するプロジェクトの間、すなわちイル・スガンの中間部に存在する広大な敷地部分には、遊歩道と公園の設置が予定され、ブイグ(Bouygues)グループがオフィス及び商業施設建設プロジェクトを担当しています。この部分の全体の設計には、デンマークの設計集団BIGが参画。ここでのプロジェクトは、環境への配慮を最優先しており、建築物自体を植生が覆うといったデザインが多用されています。このアイデアは、ラ・セーヌ・ミュジカルの建物ですでに実施されていて、ここでは屋根全体をそのまま公園にするという先進的な構造を採用しています。


パリの伝統的な歴史的地区とは違った、未来に向けて躍動する周辺部もどうぞ訪問してみてください。