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オランダ・ロッテルダム
「デ・ロッテルダム」

(設計:レム・コールハース)
世界の現代建築を訪ねる旅ー1

リ通信では、前回まで30回にわたり「プリツカー賞受賞建築家の作品探訪」を連載してきました。今回からテーマを「世界の現代建築を訪ねる旅」として、新たな連載を開始したいと思います。表題を変更する理由は、プリツカー賞を未だ受賞していない建築家の作品もご紹介していきたいと考えたからです。これからも現代建築が、世界の街並みに強いインパクトを与えている姿を追い求めて行きたいと思っております。
 とはいえ、その1回目に取り上げるのは、プリツカー賞を受賞しているレム・コールハースの建築作品です。彼による作品はこれまでに何度かご紹介してきましたが、今回は彼の生まれ故郷であるオランダ・ロッテルダムにある、デ・ロッテルダム(De Rotterdam)を訪問しました。

 
De Rotterdamの右側に見えるのはクルーズ船ターミナル。左側は KPNテレコムビル(レンゾ・ピアノ設計)

・ロッテルダムは2013年の竣工。高さが約150㍍あり、44階建ての建物です。オランダで最も大きな建物と言われています。現代的な複合ビルで、オフィス、ホテル、レジデンス、レストランなどからなっています。ホテルの客室やフロント、カフェ、レストランなどは、内装がコールハースの美しいデザインになっています。
 外観は一見してわかる通り、本来ひとかたまりであったはずの建物を、8つのブロックに割って、それらの間に隙間を持たせてずらしたかたちを造っています。その結果、空中に迫り出したオーバーハングが生まれ、建物全体が躍動感に充ちたものになっています。ビルの内部はこれらの隙間が窓となるため、より多くの外光を取り入れることができて、開放的な雰囲気になっています。

在地は、世界最大級の商業港を持つ街・ロッテルダムの中心の港湾地区で、ウォーターフロントの立地です。ライン河のひとつの支流が海に注ぐ手前20㌔㍍ほどのところにあり、そこから下流一帯に港湾施設が展開して、世界有数の商業港となっています。デ・ロッテルダムのある辺りは、まだ港湾施設はあまり見当たらず、埠頭には遊歩道が整備され、市民に格好の散歩道を提供しています。また直ぐ隣にクルーズ船のターミナルがあって、巨大なクルーズ船が寄港している時は、デ・ロッテルダムをはじめとした周りのビル群と織り成す豪快な風景が見られそうです。すぐ隣には、ロッテルダムのシンボルで、「白鳥橋」の愛称のあるエラスムス橋が架かっています。

建物内部にあるホテルのレセプション空間。

建物内部にあるホテルのカフェ。

De Rotterdam南方向からの眺め。

建物のすぐ隣に架かるエラスムス橋(愛称:白鳥橋)

デ・ロッテルダムからは、ロッテルダムの主要な観光施設に徒歩で行くことができます。コールハースの1992年の作品、クンストハル(Kunsthal)美術館へも15分程度です。 

文・写真/佐藤文子(パリ在住)