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パリ ラ・デファンス・アレーナ

(設計:クリスチャン・ド・ポルザンパルク氏)
~プリツカー賞受賞建築家の作品探訪(その 23)~
アレーナの南側外面。白い色と鱗状の壁面。

・デファンス・アレーナ(La Défence Arèna)がある場所は、パリの新都心と言われるラ・デファンス地区の、超高層ビル群や新凱旋門ラ・グラン・ダルシュのすぐ裏側にあたります。

新凱旋門の屋上から見たアレーナの全景。

2017年10月の竣工時にはローリングストーンズのコンサートが催され、1125日にはラグビーのフランスと日本のナショナルチームによる親善試合が行われました。このとき日本チームが善戦し2323で引き分け、アウェイでの奮闘が高く評価されたことは記憶に新しい方もいらっしゃると思います。幸い私も地の利を生かしてこの場に居合わすことができました。
 このように、最初から「スポーツ用のスタジアム」と「音楽イベント用のホール」の双方の使い方を想定しており、どちらが主たる用途であると決まっていない点でユニークな存在です。

アレーナの内部。大スクリーン。
アレーナの内部。U型の観客席配置。

初「U-Arena」と呼ばれていたのは、座席がU字型に並んでいる(4辺のうちの3辺にのみ座席が配置されている)ことからです。残りの1辺には巨大なスクリーンが配置されています。また天井が完全に覆われた屋内施設となっているため、ここで行われるイベントは天候に左右されず、気温も一定で冬でも寒くないというメリットがあります。

観は、雪のように真っ白なことにまず目を引かれます。建物全体は四角い箱型ですが、角が緩やかなカーブを描いており全体の印象を柔和なものにしています。また表面が鱗のように透明な細長いパネルで覆われていて、光の反射によりおぼろげな風合いを引き出しています。この外面の細工は夜に建物をライトアップしたときに効果を発揮するようで、ファンタジーな雰囲気をたっぷりと演出しています。

アレーナのメイン・エントランス。
夜間のライトアップに映えるアレーナの外壁面。

計したのは、1994年にプリツカー賞をフランス人建築家として初めて受賞したクリスチャン・ド・ポルザンパルク氏(1944年5月生まれ74歳)。パリ北東にある音楽都市の建物「シテ・ドゥ・ラ・ミュジック」も有名です。

新凱旋門からの遊歩道から見たアレーナ。
アレーナから見る新凱旋門。
デファンス地区。新凱旋門の屋上から旧凱旋門方面の眺望。

・デファンス・アレーナは新凱旋門と歩行者専用道路で繋がっており、徒歩で簡単にアクセスできます。ぜひ両方を組み合わせて見学なさることをお勧めします。

文・写真/佐藤文子(パリ在住)