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スペイン・ビルバオ市メトロ

(設計:ノーマン・フォスター氏)
~プリツカー賞受賞建築家の作品探訪(その 22)~
サリコ Sarriko駅の入り口(地上アトリウム)外観。

回は、「グッゲンハイム美術館」(フランク・ゲーリー設計)と同じビルバオBilbao市にあるメトロ(地下鉄)を紹介します。「グッゲンハイム美術館」は単なるひとつの美術館ではなく、同市を工業都市から美しい文化都市に蘇生させるプロジェクトの中心となるモニュメントでした。そして今回のビルバオ市のメトロも、インフラ設備にデザイン性と芸術性を織り込んだ建築作品とするという考えから産み出されたものです。

メトロ入り口・モユア Moyua駅。

のメトロの総合デザインを担当したのがノーマン・フォスターです。1935年6月生まれで、先日83歳の誕生日を迎えました。99年にプリツカー賞を受賞しています。同氏の作品は、ロンドンのオフィスビル・通称「ガーキン」、「大英博物館のアトリウム」、南フランスの「ミヨーの高架橋」などがあります。

モユア駅の入り口内部。
サリコ駅ホームの広大な空間。
サリコ駅の地上アトリウムに続くエレベーター。

て、このメトロは95年に開通しています。まずビルバオ市の中心街にあるモユアMoyua駅に行きますと、メトロの入り口がまるで戦闘機の風防のような総ガラス張りになっているのに目を惹かれます。駅内部に降りると、全体に空間がゆったりと広く作られていることを感じます。そして明るくモダンなデザイン性を感じます。

この辺りは落ち着いたオフィス街になっています。

た、1番線をモユア駅から西に行って4駅目にあるサリコSarriko駅は、98年に鉄道デザインのブルネル賞を受賞しています。実際にこの駅に行ってみますと、まず目にするのは、駅のプラットフォーム自体が、非常に天井が高い空間になっていることで、地下鉄に有りがちな圧迫感が全く感じられません。また地上に上がるためのエスカレーターも特別に広々と作られており、地上に出る部分も総ガラス張りのアトリウムになっているという贅沢さです。このため地下のプラットフォームにさえ自然光が届くという効果があるわけです。
 この方面をご旅行の折には、ぜひこの地下鉄の見学もなさってみてください。

文・写真/佐藤文子(パリ在住)