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ミッフィーがくれた出逢い

ンドンのスタンステッド空港からオランダのアイントホーフェン空港へ約1時間。そこからバスと電車を乗り継いで、たどり着いたのはオランダの中心に位置するユトレヒト。世界的に有名なうさぎのキャラクター、ミッフィーの生みの親であるディック・ブルーナさんが生まれ活動した故郷です。オランダ語ではナインチェと呼ばれているそうです。ユトレヒト中央駅周辺は近代的なデザインの建物が多い印象でしたが、街の方へ歩くにつれ、運河に面した縦長の窓が印象的なオランダお馴染みの建物や景色が見えてきました。今回の滞在は、元教会だったホステル。ユトレヒトのランドマークであるドム塔周辺には、東西南北あらゆる方向に多くの教会があったそうで、ホステルは西側に位置する教会の一つだったとのこと。現在カフェ兼レストランがある1階には、国家遺産として残るパイプオルガンがあり、今でも演奏に使われるそうです。

ホステル内のレストランは天井が高く、開放感を感じられます。

レストランの奥にある、今でも堂々と存在感を放つパイプオルガン。

ポップでありながらも歴史を感じるホステルの外観。

トレヒトでは思い出深い出会いがありました。滞在最終日、ドム塔近くのアウデグラハト通りを歩いていると、お店のショーウィンドウにミッフィーやユトレヒトの街並みが描かれたポストカードを発見。思わず中に入ると、そこはPaper Moonという絵本屋さんでした。座って絵本を読めるソファ、隅々までカラフルな絵本で溢れた空間は、子供部屋のような懐かしい雰囲気でした。店員さんに「Hi!」と挨拶をし、絵はがきを見ていると…「あなたが今日初めてのお客さんだから、お店のBGM選んでくれない?」と気さくな店員ジャッキーから粋な提案。
 この日は天気も良く、楽しく1日を始められる曲がいいなと思い、アーティストJungleのProblemzをチョイス。軽快な音楽が流れ始めると、音にあわせてステップを踏み踊りだしたジャッキー!「ラテン系のダンスは腰から下が重要!」と熱弁しながらノリノリで踊るメキシコ人ジャッキーに、私も思わず嬉しくなり、ふたりでダンスダンス! 書店で踊る初めての経験にドキドキしながらも、その後も踊ったり、音楽や旅の話で盛り上がったり、気づけば1時間もたっていました(笑)。

思わず足を踏み入れるきっかけとなった、可愛い絵はがきたち。

ユトレヒト中央駅に隣接するショッピングモールHoog Catharijne。

レストランや衣料品店が建ち並ぶアウデグラハト通り。運河沿いのテラス席にはたくさんの人が。

し絵はがきのミッフィーが目に入らず素通りしていたら、身体がホカホカするまで楽しく踊りあうこともなかったかもしれません。初めましてなのが信じられないくらい打ち解けられたのは、彼女の太陽のような明るい人柄とダンスがふたりをつないでくれたからだと思います。「またきっとどこかで会おうね!」と言って、あったかい気持ちのまま店をあとにしました。まだ夏の欧州旅は始まったばかりの頃でした。

ジャッキーの弾けるような笑顔に今でも元気をもらっています。

『ムーミン』や『すてきな三にんぐみ』など、日本でお馴染みの絵本も本棚に並んでいました。

背の低い建物が多いユトレヒトのいたる所から、ランドマーク ドム塔が見えました。

文・写真
福田智子  Satoko Fukuda
福岡生まれ。ソレイヤジェインズインターナショナルバレエスクールにてクラシックバレエを始める。2013年より英国、ランベールスクールオブバレエ&コンテンポラリーダンスにて学びを深める。卒業後はイギリスを拠点に、ニューヨーク、韓国、フランスでもコンテンポラリーダンスを踊る。
Instagram @satokofukuda_dance @dancersnetwork_jp
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