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懐かしき恩師を訪ねて17年振りの再会 in バルセロナ

「Satoko! Hisashiburi desu!」
角で、懐かしい声が響きました。ダンスカンパニーのオーディションで訪れた2023年初夏のバルセロナ。大きなスーツケースの私を駅まで迎えに来てくれたのは、小学校5年の頃、地元福岡のバレエスタジオでバレエを教えてくれた恩師のモンセ先生。フワッとした髪に可愛らしい目で恥ずかしげにハグしてくれたのは、モンセ先生の娘チマダナ(ダナ)ちゃん。先生は日本語も覚えていて「Satoko! Genki desuka?」と喜んでくれ、17年振りの再会となりました。

屋上でインスタントコーヒーの受け渡しをする初めての経験(笑)

着日にコーヒー派か紅茶派かと聞かれ、コーヒー派と伝えると、電話をかけ始めた恩師。相手は隣の建物に住む彼女のお母さん。「Satokoはコーヒーを飲むの。インスタントコーヒー持ってる? わかった! じゃあ10分後に屋上で!」と電話を切り、10分後に彼女を追うと……屋上の鉄格子の向こうにインスタントコーヒーを持った恩師のお母さんが! 建物同士がくっついて建っているからこそできる技! 思わぬ発想に笑いながら、ご挨拶しました。

の日、モンセ先生は仕事を休み、住む地域をダナちゃんと案内してくれました。モンジュイックの丘で、互いに会えなかった年月について話しました。ドイツ、アメリカ、日本と、バレエを通して世界で活躍してきたモンセ先生。引退して子どもが生まれ、自分時間は減ったけど、娘のために時間を使うことが私の生きる力と話してくれました。5年後、どんな気持ちで生き、何をしているか分からないから楽しんで!今、思い切り楽しんで踊ってね。と伝えてくれた恩師の言葉は、この旅で何よりの贈り物でした。

 モンジュイックエリアには、要塞として17世紀に建てられたモンジュイック城や庭園、子どもの公園などが点在し、近くにミロ美術館もあります。その後、コロンブスの記念塔近くを通り、海の見える港まで歩きました。

今なお建設が続くサグラダファミリアは、街中に突如現れる芸術作品。

モンジュイックの丘からの眺め。中央より少し左の背の高い建物はサグラダファミリア。

お家では絵を描いたり、歌ったり踊ったりとても仲良し親子。

モンジュイックの丘にあるフラメンコダンサー像の前でポーズ! ダナちゃん決まってます!

道の所々で見られる鮮やかな花に目を奪われます。

ラランブラ通りにあるジョアン・ミロのモザイク作品。

師のご両親が夕食に招いてくださり、一緒にご飯を食べました。屋上でお会いした明るいお母さんと寡黙な優しいお父さん。夕飯にはサラダにトマトにオリーブに生ハム、そしてお母さんお手製のスパニッシュオムレツ!卵にじゃがいもに塩とシンプルながらも、愛情が詰まった美味しさに手が止まりませんでした。
 恩師との再会は、人に出逢い、学び言葉を交わし、食事を分かちあうという日常にある小さな幸せが互いを支え、今があることを思い出させてくれました。素晴らしい建築で有名な街の小さな部屋で、娘と共に生きるモンセ先生を今も思い出します。私にとってバルセロナも、大切な人が住む街です。

「日本人はご飯の写真を撮るからちょっと待って!」とモンセ先生。お母さんお手製スパニッシュオムレツの味は忘れられません。 

夕食の帰りにバルコニーからお見送りしてくれた恩師のご両親。Muchas Gracias!

文・写真
福田智子  Satoko Fukuda
福岡生まれ。ソレイヤジェインズインターナショナルバレエスクールにてクラシックバレエを始める。2013年より英国、ランベールスクールオブバレエ&コンテンポラリーダンスにて学びを深める。卒業後はイギリスを拠点に、ニューヨーク、韓国、フランスでもコンテンポラリーダンスを踊る。
Instagram @satokofukuda_dance @dancersnetwork_jp
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