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アートと人が出会う、何かが生まれる場所

敵なアート作品やアートが好きな人たちに出会える。アートって、人っていいなあと思える場所を作りたい」ひとりの女性の熱い思いから、このみんなの広場Villa ARTISは始まった。自身も書家、アーティストとして活躍する中島千香子さんの思いとやさしさ、こだわりが詰まった空間を紹介したい。

シャッターに描かれた Villa ARTISのロゴと、笑顔が素敵な千香子さんがお出迎え!

Villa ARTIS(ヴィッラ アルティス、ラテン語でアートの村)は、2020年福岡県八女市上陽町にある古民家でスタート。八女の魅力に魅せられ、福岡市より移住。入口を見た瞬間にビビッと来た、と千香子さんが語るこの家は築85年。木も呼吸するから、これからが木の力の見せどころ、木の歪んだ部分もとても好き、と話す千香子さん。時が経つにつれ、木の柱や漆喰の壁に味わいが出るのも古民家の魅力だと感じた。静かな空間でゆったり時の移ろいを感じると、裏庭で枯れ葉が地面へと落ちる音が聴こえた。暮らしの中で自然と共に生きていると感じた

玄関の脇にはモミジの木もあり、紅葉の季節にもぜひ訪れたい。
民家に一歩足を踏み入れると、そこからアートの世界が広がる。

関に足を踏み入れると、まず、千香子さんの書の作品がゲストを迎える。じっと見つめたくなる花瓶と千香子さんの作品。シンプルでゆとりのある空間は、私に深呼吸することを思い出させた。彼女と現地の左官さんの手で床を張り替え、時間をかけて壁の色を塗りかえる。大正時代を思わせる渋めの赤、八女茶の色の穏やかな緑、グレー色の壁など、部屋によってサプライズがつまっている。あちこちに千香子さんの工夫があり、地元八女の和紙や福岡出身アーティストの作品も楽しめる。訪れる人たちに、新しいアートとの出会いが生まれる。

自然光が差し込む清々しい空間で、千香子さんとゆったりと書の体験もできる。

インの居間は広々とした畳の間。ここで定期的にヨガのイベントも開催される。ダンサーの私も、この空間なら心穏やかに自らの体と対話できそうだ。庭に面した大きな窓から射す光、美しい窓のガラス細工や組子にも目を奪われた。どの部屋にも、立ち止まって見ていたくなる空間があり、和紙のランプの柔らかな灯りで、自然と私の手は踊りはじめた。

この素敵な空間で過ごしていたら、新たなアイデア、インスピレーションが生まれそう。
八女の和紙を巻いただけという照明も、いつの間にかアート作品に。  

Villa ARTISでは、アーティストが作品制作に集中できるアーティストレジデント、千香子さんによる書の体験教室、中庭で音楽家のライブなども開催。また福岡のイタリアンレストランのイタリア人オーナー直伝のピザも石窯で焼かれ、来年3月Villa ARTISピッツェリアもオープン予定。アートが集い、人と人が出会い繋がる、そんな森の中のアートの村。多くの人々で賑わうその日が待ち遠しい。

生地から手作りしている千香子さんのピザ作り。だんだんと良い香りが!  
八女の水を使い、庭で育てているバジルの葉をのせた、とっておきの Villa ARTISマルゲリータ。

Villa ARTIS
https://villaartis.com/
書の体験、ご来店の際はお問い合わせください。

文・写真
福田智子  Satoko Fukuda
福岡生まれ。ソレイヤジェインズインターナショナルバレエスクールにてクラシックバレエを始める。2013年より英国、ランベールスクールオブバレエ&コンテンポラリーダンスにて学びを深める。卒業後はイギリスを拠点に、ニューヨーク、韓国、フランスでもコンテンポラリーダンスを踊る。
Instagram @satokofukuda_dance @dancersnetwork_jp
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