穏やかな記憶
アムステルダム
世界的パンデミックになり1年以上たちます。チケットを買えばすぐ行けた旅も、今では遠く感じます。美味しいものを食べる、ステキな音楽を聴く、鮮やかな夕焼けを見て、月の美しさに感動する。日常にある小さなときめきを大切に、日々を過ごしています。
2019年5月、ダンスワークショップの為に訪れたアムステルダムを思い出します。英国スタンステッド空港から約2時間でスキポール空港へ到着。宿泊はハルフウェフ地区にあるThe Old Post Office Hostel。昔、郵便局だった建物は、こげ茶色のレンガ造り。内部は綺麗に改装され、とても快適でした。
アムステルダムの道には、トラムと車が走る車線、そしてなんと自転車専用レーンがありました!ワークショップ初日、スタジオを探していると、ものすごいスピードで自転車の大群が! 知らずに自転車専用レーンに立っていた私は、ぶつかりそうになる前に歩行者レーンへジャンプ! アムステルダムでは、自分がどのレーンにいるか気をつけましょう!
ワークショップの会場は、Chasse Dance Studios。さまざまなコンテンポラリーダンスクラスを受けられるサマースクールも開催され、ヨーロッパ各地からダンサーが集まるスタジオです。落ち着いたオレンジ色のレンガで作られた建物の正面には、蓮の花のようなデザインのガラス窓があり、ワクワクしながら足を踏み入れました。幅広い年代の25名程が参加したワークショップは、朝11時からランチ休憩をはさみ夕方5時まで。ムーブメントリサーチ、動きの研究をしつつ実際に体で実践するスタイルで、神経科学や生体力学、柔術などのアイディアも用います。体の構造や動きを観察、自らの身体と向き合い、より洗練された動きを目ざす濃密な4日間でした。
どの国へ行っても飲みたくなるコーヒー。スタジオ近くの可愛らしいカフェには、おいしそうなサラダやサンドイッチに加え、スムージーや、手に取りたくなる包装のチョコレート、オーガニックスナックなどが並びます。一日中踊った体においしいラテでホッと一息。その土地と繋がれる気がします。
街を歩くと、グレーや藍色、落ち着いたオレンジ色など、やさしい色使いの家や建物が多かったです。クリーク(水路)の橋も可愛らしく、アムステルダムは穏やかな雰囲気が記憶に残る街でした。残念ながら外観の写真しかないゴッホ美術館とオランダ国立美術館、次は必ず訪れます。その日が来ると信じて。
文・写真
福田智子 Satoko Fukuda
福岡生まれ。ソレイヤジェインズインターナショナルバレエスクールにてクラシックバレエを始める。2013年より英国、ランベールスクールオブバレエ&コンテンポラリーダンスにて学びを深める。卒業後はイギリスを拠点に、ニューヨーク、韓国、フランスでもコンテンポラリーダンスを踊る。
Instagram @satokofukuda_dance @dancersnetwork_jp
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