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ダンスが繋いでくれるもの

photo by Jay Yule

 2019年は私にとって新たな挑戦の年となりました。ダンサーとしてさまざまな場面で踊る機会を持ち、多くの発見をしています。

2月にはロンドンThe Place(ザ・プレイス)劇場で約1ヶ月間開かれたResolution(リソルーション)フェスティバルにて、自ら振付したソロ作品About the leavesを踊りました。
 ザ・プレイスはユーストンという場所に位置し、ダンス学校「ロンドンスクールオブコンテンポラリーダンス」も併設しています。プロを目指すダンサーの卵から、ダンスを趣味で楽しむ人向けのクラスまで幅広く指導。ダンスの振付師を目指すコースもあります。街の中心部に学校があるので、仕事終わりにダンスクラスで汗を流し、クラスで初めて会った人と意気投合、そのままパブで一杯なんてことも。そんな気軽さが、ダンスと人々との距離を近くします。
 またリソルーションフェスティバルの1ヶ月後に、一人の女性がメッセージをくれました。「あなたの踊りをリソルーションで見ました。とても美しかったので、ぜひ私たちのフェスティバルで踊ってくれませんか?」。ダンスフェスティバル・クロイドンを企画していた彼女は、私にソロ作品を披露する新たな機会をくれました。自分のダンスを誰かが見てくれて、新たな繋がりが生まれる。こうして人と人を繋いでくれるのも、ダンスの力だと感じます。

ザ・プレイス劇場の横で。壁にかかるポスターが印象的でポーズを真似してみる。/ photo by Junko Fukuda
パフォーマンスで使う照明を英語で相談中。右にいるのは、衣裳と照明を担当してくれたMatilda Eldon McCaig。/ photo by Junko Fukuda

3月終わりには、the Yonisというグループのダンサーたちと、ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート美術館(V&A)にて踊りました。
 V&AではFriday Lateといって、金曜の夜、閉館後の美術館内で定期的にイベントやパフォーマンスが行なわれています。無料なので、家族や友達と見に行く人も多いです。
 いつか美術館で踊ってみたかった私にとって、このダンスは夢のような時間でした。小さい子からおばあちゃん・おじいちゃんまで、老若男女、国籍も関係なく、立ち止まって私たちのダンスを見ていました。ある小さい女の子は、私たちの動きを真似して一緒に踊ってくれました。今まで話したこともない女の子と私が、ダンスで繋がれた瞬間でした。劇場という空間を飛び出して美術館で踊ってみたら、素敵な繋がりができる。そんな経験も、この街の魅力のひとつだと思います。

照明リハーサル。私の身体と枝がリンクしているように見えて、お気に入りの1枚。/ photo by Junko Fukuda
ダンスフェスティバルクロイドンでの1枚。パフォーマンスで使う枝はいつも現地調達しています!/ photo by Jay Yule

ンスを通じて、年齢も言葉も人種の違いさえ越えていく。そんなダンスの可能性を感じさせてくれるロンドンでの経験は、私の背中を前へ前へと押し進めてくれます。

the Yonisは、ロンドンを中心に活動する女性ダンサーで結成された、ガールズムーブメントバンド。いつもパフォーマンスではカラフルな衣裳を着ています。/ photo by Vipul Sangoi
リソルーションフェスティバルで踊った後に、ザ・プレイス劇場の前にて。踊り終わって充実感にあふれてます(笑)/ photo by Junko Fukuda

文・写真
福田智子  Satoko Fukuda
福岡生まれ。ソレイヤジェインズインターナショナルバレエスクールにてクラシックバレエを始める。2013年より英国、ランベールスクールオブバレエ&コンテンポラリーダンスにて学びを深める。卒業後はイギリスを拠点に、ニューヨーク、韓国、フランスでもコンテンポラリーダンスを踊る。
Instagram @satokofukuda_dance @dancersnetwork_jp
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