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イタリアのシステムキッチンの
トレンドとは?

年はコロナ禍において、住環境の大切さや、その中でどこに重点を置くかということを改めて見直す機会になったのではないのでしょうか。イタリアでロックダウンを経験し、その時に垣間見られたイタリア人のライフスタイルで最も印象的だったことは、食生活の充実ぶりでした。そこで今回は、イタリアのシステムキッチンに注目したいと思います。
 収納家具の素材や色、テーブルトップまで詳細に選ぶことができるシステムキッチンは憧れです。イタリアの数多くあるメーカーの中から、昔からよく知られる2社と新進気鋭の2社をご紹介します。

 ずはVeneta Cucine(ヴェネタ・クチーネ)。イタリア北東部ヴェネト州で50年以上前に誕生した家族経営の会社が、今はイタリアで一二を争う規模のキッチンメーカーに成長しました。世界中に広がるネットワークを持ち、幅広い顧客層に向けたデザインや仕上げ材のバリエーションの豊かさが魅力です。

筆者の旧宅のキッチンはヴェネタ・クチーネ Veneta Cucine
かつてはインパクトあるカラーが流行っていた。
ヴェネタ・クチーネ Veneta Cucineの素材見本。
同じ白でも光沢やマット、ガラスなどさまざま。

次はValcucine(ヴァルクチーネ)。こちらは創業して35年、一貫して最新技術開発にフォーカスしてきたメーカーで、リサイクル素材の扱いやボタンひとつで開閉するオートマチックキッチンなど、他のメーカーに追随を許さない部分で独自性を開拓しています。

筆者の新居のキッチンはヴァルクチーネ Valcucine。決め手はリサイクルされたメタル素材で、旧工場をリノベした家にふさわしいコンセプト。
チェーザル Cesarのキッチン。

新進気鋭のメーカーからはCesar(チェーザル)。シンプルなデザインながら存在感とオリジナリティーを発揮するのは、飽きのこない使いやすいデザインと材の質の良さの表れでしょう。

最後に紹介するのはModulnova(モデュルノーヴァ)。仕上げ材のバリエーションは流行りのニュートラル系に絞り、その代わり手触りなど素材感を重視して他との違いを出しています。

モデュルノーヴァ Modulnovaのキッチン。

ッチンを検討する際には、ショールームを訪れる前に準備しておくことがあります。まずはキッチンの入るスペースの採寸です。ドアや窓の位置、既にあるのならガス栓や水道、換気扇なども確認しておくことで、キッチンの設計の方向性が定まってきます。

次にマイホーム全体のイメージです。温もりのある木目調か、現代的でシャープな印象か、イメージを持っていれば仕上げ材を選ぶときの手助けになります。
 また海外製のキッチンを入れるときに重要なポイントになりますが、海外製は欧米人の身長に合わせて若干日本人には高い場合があります。テーブルトップの高さはどのぐらいが便利か、カップボードの位置は適切か、使い勝手を検討してみてください。

イタリア人グラフィックデザイナー( 30代)のキッチン。

キッチンは家の中でも毎日使う大切な機能です。いろいろと見比べて、使い心地と見た目の両面から自分にぴったりのキッチンを作り上げてください。

文・写真/

西村 清佳 Sayaka Nishimura

東京芸術大学大学院建築理論修了後、イタリア政府給費留学生として渡伊、現在トリノ在住。イベントコーディネーターとして日系企業や日本人デザイナーの見本市や展覧会をサポート、及び取材記事を執筆。私生活では1900年代建造の工場跡の1コマを購入してマイホームにリノベーションし、インスタグラムで工事の経過やイタリアのインテリアの最新トレンドを発信。
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@sayakina_italy