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大盛況だった今年のミラノサローネ

年4月の、世界で最も大きなデザインの祭典、国際家具見本市(通称ミラノサローネ)が、今年も無事に開催されました。来場者数は延べ37万人、イタリア国外からは53・9%。総来場者数は前年比で20・2%増、うち業界関係者の来場者数は28・6%増という記録的な数字を残し、成功裏に閉幕しました。ミラノサローネが経済的な視点からも持続可能な催しであり、人の生活の未来という重要な分野に関する国際的イベントであることを、改めて印象付けた結果となりました。

開幕日のエントランスの様子。

店者は35カ国から1950に及び、国別の来場者数は上位15カ国では中国がトップに立ち(13・8%)、ドイツ、スペイン、ブラジル、フランス、アメリカ、ポーランド、ロシア、スイス、トルコ、インド、イギリス、韓国、日本(2・0%)、ルーマニアがそれに続きました。また、アメリカ、インド、アラブ首長国連邦、イギリス、フランス、サウジアラビアから多数の業界関係者の代表団が来場したおかげで、新たなビジネスチャンスが生まれました。

の成功の結果を受け、ミラノサローネのマリア・ポッロ代表は次のように述べています。
「第62回ミラノサローネは、予想を上回る記録的な開催となりました。世界でも唯一無二のイベントであり、市場の新しい地域との対話に不可欠な架け橋であることを再認識しました。まさに重要な意味と永続的な価値を持った、物質と非物質が融合する文化の偉大な『工場』なのです。(以下略)」

イタリア製LAGO(ラゴ)はまるで宙に浮いているようなデザインが特徴的。

イタリアの新進気鋭ブランドedra(エドラ)は近未来の都会的なブース展示。

年の新たな動きとして、イタリア政府省庁のひとつである企業・メイドインイタリー省(経済推進を図るため2022年に新設された)が、サローネ開幕日の4月15日を「第1回メイドインイタリーデー」に制定しました。このミラノサローネのみならず業界全体を国が後押しすることを、国内外に知らしめる形です。イタリアがインテリア産業を重要視し、さらに発展させようという意図が垣間見られます。

ドイツ製Bosch(ボッシュ)は高性能の家電が強み。

35歳以下の若手デザイナーの登竜門であるサテリテは、今年でちょうど25周年を迎え、それを記念して、ミラノ・トリエンナーレ美術館では大規模な展覧会が開催されました。これまで延べ14000人を超える世界の若い才能が夢を抱いてサテリテに出展し、デザインの歴史を刻んできたブランドにとっては将来のタレント発掘の格好の機会でした。いわばデザイナーにとっては創作活動だけでない思考と人間関係、プロジェクトの訓練の場であり、今回のミラノサローネのキーワードでもあった「進化」の価値を印象付けているように思われます。
今年のミラノサローネは、改めてイタリアにおけるインテリア業界のブランド力と産業・経済活動としての底力を再認識する開催となりました。

若手登竜門のサテリテ会場。

トリエンナーレで開催されたサテリテ25周年記念展覧会。

写真提供/All Photo Cortesy by Salone del Mobile.Milano Press

文・写真/

西村 清佳 Sayaka Nishimura

東京芸術大学大学院建築理論修了後、イタリア政府給費留学生として渡伊、現在トリノ在住。イベントコーディネーターとして日系企業や日本人デザイナーの見本市や展覧会をサポート、及び取材記事を執筆。私生活では1900年代建造の工場跡の1コマを購入してマイホームにリノベーションし、インスタグラムで工事の経過やイタリアのインテリアの最新トレンドを発信。
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@sayakina_italy