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イタリアのクリスマスは華やかにインテリアをデコレーション

タリアでは数ある年中行事の中でもクリスマスが最も伝統的かつ華やかで、大切なイベントです。今回はそんなイタリアの年末年始の習慣をご紹介します。

ょうど日本のお正月に相当する行事がイタリアにおけるクリスマスで、その典型的な過ごし方はイブの夜と25日にそれぞれ家族がみんな家に集まって手料理のご馳走を食べることが基本です。
 それに照準を合わせ、12月8日の聖母マリア受胎の祝日を目処に街中のウィンドーや広場、各家庭ではクリスマスツリーを出したり窓際やバルコニーにイルミネーションを飾ったりと、華やいだ雰囲気を作るため工夫を凝らします。
 イタリアのクリスマスの祝祭の雰囲気は年を越しても続き、キリスト生誕を知った東方の3人の博士がキリストの元へ到着したとされる1月6日の公現祭の祝日で幕を閉じます。

街中に置かれるツリー。

リスマスは基本的に家で過ごすことから各家庭ではそれぞれ趣向を凝らし、ゴージャスに華やかさを演出するために、その時期やその日だけ登場するものが数多く存在します。
 たとえばグッズの話をするとお馴染みのツリーやリースのみならず、キャンドルやおもちゃの兵隊、電動のカルーセルやスノーボール、クリスマスまでの日数を日めくりするアドベントカレンダーなど。そしてキリスト教の国イタリアで最も伝統的なのが、キリスト生誕のシーンを再現したジオラマのプレゼーベです。
 また色の話をするならクラシックな赤と緑や、ちょっとシックな白と金などを基調にしたものが多く見られます。その色調のテーブルランナーやソファで使うブランケット、クッションカバーやベッドカバーなど、室内のテキスタイルの色を変えるだけでクリスマスを演出できます。

イタリアの老舗アレッシィのツリーオーナメント。
 

キリスト降誕を再現したジオラマのプレゼーペ。

毎日1つずつ公開される街中のアドベントカレンダー。

の習慣はそれぞれ土地柄や家庭によってさまざまですが数々の美しい前菜に始まり、パスタ、メイン、そして最後にパネットーネ(大きなパンの意味)かパンドーロ(黄金のパンの意味)で締めくくるのが一般的です。

家庭でのクリスマスディナーの前菜の数々。

定番スイーツの左がパネットーネ、右がパンドーロ。

器類もクリスマスらしい絵柄のプレートや、普段は使わないクリスタルのグラスなどを使い、テーブルセンターにはキャンドル、松や柊のオーナメントを置いてテーブル全体を演出します。
 インテリアブランドも、売れ筋の定番プロダクトのクリスマス限定カラーバージョンを発売したりします。

イタリアの家庭のテーブルセッティング。

食器の老舗ブランド、リチャード・ジノリのクリスマスのウィンドー 。

クリスマス仕様になったインテリア用品店のウィンドー。

タリアの年末年始の時期は1年で最も夜が長く、ネオンサインもない街中は日本よりずっと暗い印象です。だからこそ年が明けても公現祭までずっと続く街中や家庭内のデコレーションによる祝祭感が、1年の終わりと始まりを華やかに彩る最も大切な行事であることをより強く印象付けています。

文・写真/

西村 清佳 Sayaka Nishimura

東京芸術大学大学院建築理論修了後、イタリア政府給費留学生として渡伊、現在トリノ在住。イベントコーディネーターとして日系企業や日本人デザイナーの見本市や展覧会をサポート、及び取材記事を執筆。私生活では1900年代建造の工場跡の1コマを購入してマイホームにリノベーションし、インスタグラムで工事の経過やイタリアのインテリアの最新トレンドを発信。
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@sayakina_italy