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遂に本格的に開催!
今年のミラノサローネより

年春に開催されてきたミラノ国際家具見本市(通称ミラノサローネ)は、世界事情を鑑みて4月から6月へと時期をずらしたものの無事に開催されました。今年は記念すべき第60回を迎え、本会場となる見本市(通称フィエラ)では予想を遥かに上回る26万人の来場者を記録し、このイベントの集客力と影響力を改めて世界に発信する結果となりました。
 出展企業はおよそ1600社(うち3割が国外)。6日間の開催期間で来場は実に173カ国から、業界関係者の6割が国外からでした。特にロシアと中国からの来場者がほぼ不在の中で記録的な数字を残したと言えるでしょう。

①サローネの総本山、見本市会場は例年並みの賑わい。

の2年間、世界の殆どの人が家で「停滞」を余儀なくされていた中、デザイン・家具業界は進化していました。「住まい」は立ち止まるどころか変化し続け、より本質的に、そして何より「人間らしいスケール」に変容しました。その大きな特徴をまとめるとこのような感じです。
・フォルム:「less is more」から「extrabold」(超大型)まで、幾何学的から彫刻的まで、快適さ、効率、機能性を考慮しつつ多種多様。
・カラー:ナチュラルでソフトなニュアンスのバラエティに富む。 
・素材:再生材、希少材、高機能材、再生プラスチックなど環境に配慮したもの。
・仕上げ材:繊細かつ希少価値があるもの。
・テキスタイル:包み込むような極上の肌触り感。
 
 2年の間にインテリアが人々の生活にとって日常の身近なものとして認識され、より快適な生活スタイルを目指す中での重要さを再認識していたと考えられます。
 また企業としてのサスティナビリティや環境負荷に対する理念を以前にも増して強く発信していたように感じます。

②Kartell(カルテル)の、ホームオフィス時代を意識したフィリップ・スタルクの家具。

⑪日本の新進気鋭デザイナー、we+のサスティナブル素材に着目した作品。

ラノ市街で開催されるフオーリサローネも、今年は35万人の人出を記録して盛り上がりを見せました。本会場のサローネとの一番の違いは、フオーリサローネは単体としての家具を発表する場である以上に、一企業としての在り方や企業理念を世界に発信する舞台という位置づけである点です。
 まだまだ世界情勢の様子見状態だった去年に比べ、今年は日本企業の活躍ぶりも垣間見ることができました。またファッションの都ミラノにふさわしく、エルメスやルイ・ヴィトンなど世界的ブランドのイベントは例年通り注目を集めていました。
 街中で今年は800ほどのイベントが開催されたので、名前に馴染みのあるブランドやデザイナーの世界観を覗き見るだけでも、十分に世界一のデザインの祭典を楽しむことができると思います。

③オランダ発moooi(モーイ)の展示は、毎年注目される見どころのひとつ。 

④moooiの展示は、色も素材も形も多用しつつ絶妙のバランスで調和が取れている。

⑤イッセーミヤケのブティックでは宮島達男とのコラボ作品を展示。

⑦nendo(ネンド)デザインの、旅に携帯できる充電式LED照明。

⑨日本からミラノのブレラ地区へ出店したTime & Styleもデビュー。

⑩まるでオアシスのようなロッサーナ・オルランディのギャラリーの中庭。 

⑥ルイ・ヴィトンでは旅をテーマにしたインテリアを展開。

 

⑧毎年注目を浴びるエルメスの展示会場は、まるで光の漏れる行燈のよう。

写真提供/Adrià Goula/Jesús Granada (①②)、Julien Lanoom (③)、Marco Cappelletti (④)、Fernando Alda (⑤)

文・写真/

西村 清佳 Sayaka Nishimura

東京芸術大学大学院建築理論修了後、イタリア政府給費留学生として渡伊、現在トリノ在住。イベントコーディネーターとして日系企業や日本人デザイナーの見本市や展覧会をサポート、及び取材記事を執筆。私生活では1900年代建造の工場跡の1コマを購入してマイホームにリノベーションし、インスタグラムで工事の経過やイタリアのインテリアの最新トレンドを発信。
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@sayakina_italy