ミラノサローネで発表された
新作コレクション
今年も4月に例年通りミラノで世界一のデザインの祭典が開かれました。開催時期が少し早まったためまだ肌寒く、一番人出の多い週末が生憎の雨模様となりましたが、家具の国際見本市には6日間で181カ国から38万6千人が入場しました。今回の展示の中から、ほんの一部をご紹介します。
まずはイタリア北東パドヴァの街が発祥のブランド、Caccaroが発表した「Freedhome」というシリーズ。室内の壁に1㌢単位でどんな家具でも作り出すというもので、そのバリエーションはクローゼット、リビングボード、本棚、キッチン、食器棚と幅広く、素材も色や仕上げも全てオーダーメイドできるのが特長です。会場では特に中東やロシアの来場者から注目を集めていました。
ファッションブランドもこの機会にブランドコンセプトを体現するインテリアを発表します。その中でもルイ・ヴィトンの「オブジェ・ノマド」コレクションは、既に世界中のデザイナーとのコラボレーションにより40の作品を発表しています。
今年初参加のデザイナー、アトリエ・ビアジェッティが発表したのは、故郷であるアドリア海にインスピレーションを得たガラスのテーブル、アネモナ。最大12人が座れるディナーテーブルです。
このコレクションの常連デザイナーでもあるマルセル・ワンダースは、ダイアモンドというソファをヴェネツィアと名付けられた照明と組み合わせて発表しました。
そのマルセル・ワンダースが立ち上げたオランダ発のブランド、moooiの展示は毎年注目の的ですが、特に好評を得たのは彼が発表したソファのシリーズ。X字型の縫い目が特長で形や色も自在に選べるようになっています。 「ザ・パーティ」と名付けられた5つの異なる表情の顔が並ぶ照明は、5人家族という設定の、見ているだけで楽しいデザインです。
ミラノ発ファッションブランドのアルマーニは、インテリアの作品を発表する代わりに、ブランド所有のギャラリーSilosにて、以前から縁のある建築家、安藤忠雄の個展を初開催しました。
閉幕後、ミラノサローネ社長のクラウディオ・ルーティは次のようにコメントしています。
「我々は品質に投資して、デザイナーや職人と制作現場からPRまで相互理解を深めながら協働し、製品の価値を高める『ストーリー』にも重きを置いています。それにより我々の『常に最良のものを世に生み出したい』という強い創造性を示すことができました。何より誇らしいのは、世界から見に来てくれた人々に、我々のモノづくりにかける熱意とシステムを作りグローバルなビジネスへと展開していく腕前を披露できたことです。ミラノサローネはその意味で世界に類のない機会であり、ミラノに深く根ざしながらも世界の現状を映す鏡であるとも言えます」
社長の言葉には、イタリアのデザインとモノづくりの文化に根ざす誇りが垣間見られ、それを発信する場としてミラノが相応しいことをサローネで改めて実感します。
写真/プレス資料
文・写真/
西村 清佳 Sayaka Nishimura
@sayakina_italy